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2016年新譜まとめ

 2016年に聴いた新譜のまとめです。まだ12月でそこそこ買うと思うので今後追加されていくとは思うんですが、とりあえずまとめていこうかなあと。普通こういうのって年間ベストになるんじゃないかと考えたけどそんなのできるほど聴いてないんですよね。精進したいと思いました。

 

 

Radiohead/A Moon Shaped Pool

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 『Daydreaming』が本当に素晴らしい。この一曲だけでも、とか言いたくなるところですがアルバムまるごと傑作です。一曲目の『Burn The Witch』でこそ度肝を抜かれますが、全体ではアンビエントのような浮遊感とアコースティックさが前面に出たかなりメランコリックな雰囲気の作品。これまでにもライブで演奏されてきた『identikit』や『True Love Waits』もアレンジを大きく変えて収録されており、これに関しては賛否両論あるかもしれないですね。個人的には『identikit』なんかはこれまでライブで演奏されていたもっとリズムが激しいバージョンの方が好きかもしれません。とはいえそれではアルバム全体の流れを乱すかもしれないし、やはりそこが統一されていてこそ最新作は傑作になりえたのだろうと感じます。
 歌詞の内容については「トムヨークが離婚したため非常にパーソナルな内容となっている」ということが良く言われていますが、どうでしょうね。そこまで直接的な内容はないと思いますが、『Daydreaming』の歌詞とアルバムのラストに『True Love Waits』を持ってきたことを思えばそう指摘されるのもやむなしという感じがします。とはいえそれが事実だとしたらかつて「観客からグロテスクな共感を寄せられるのは耐えられない」とこぼしたトムヨークが再び自らの感情を歌に乗せたことになり、それが素晴らしいトラックに合わせて歌われたことに感慨を覚えずにはいられないです。

 

スピッツ/醒めない

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 一迅社あたりが出してる異種間恋愛アンソロジーみたいなジャケットですね。それはそれとして今作も良かった。
 表題作にしてトップを飾る『醒めない』の強烈なリズムで一気に引き込まれます。14曲と結構ボリュームのある作品でどこを切ってもスピッツらしい大満足の作品。M3、M4、M10あたりが非常に良かったけれど、中でもM10『ガラクタ』が非常に良かった。部屋中にあるものをとっかえひっかえ取り出して音を鳴らしまくったような素敵な曲ですが、これにガラクタというタイトルを付けるのも素敵です。これからも彼らの作る素晴らしい音楽を聴きつづけていきたい。

 

Bon Iver/22, A Million

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 アグレッシブなリズムと静謐なアンビエントのような音が繰り返されるBon様の新作。
 前作のラストが個人的に意味不明で、何いきなりダサいシンセ出してダサい歌を歌ってんだよってキレまくってそれ以来全く聞いていなかったんですが、今作を聴いてからだとだいぶ印象が変わりました。今作の歌の良さやシンセの使い方というのがやはり前作のラストから続いており、今作ではそのわかりやすすぎるぐらいのベタな歌メロと、美しくも荒々しいトラックが合わさり彼の世界を広げています。一作目のフォークさと二作目の試みがうまく調和した良い作品です。

 

wilco/schmilco

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 schmilco~~~~~~~~ってジャケットが最高ですよね。レコードプレイヤーが壊れてしまって音楽が聴けない娘のため、父親が自分の身体を犠牲にして機械に電気を通し彼女に音楽を聴かせてあげる様子が描かれています。ぼくは早くこれになりたいです。
 作品自体はここ最近では一番地味というか、カントリー色の強いwilcoです。wilcoは変な作品と地味だけど良い作品と地味に変な作品の3パターンを繰り返してるようなところがあるんですが、今作はかなり久々に地味だけど良い作品のパターンだったように思います。なんとなくYankee Hotel以前に戻ったような感触というか、それぐらい今作はネルスクラインのギターが大人しくてカントリーしています。あのキリキリしたギターや変なwilcoを求めていると少し肩透かしを食らうかもしれませんが、シンプルで暖かみのある良いアルバムです。ぜひ何度も繰り返し聴いてもらいたい。

 

Oval/popp

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 めっちゃポップだなー! というのが第一印象というかもうタイトル通りという感じです。いちもにもなくポップです。この作品から受ける衝撃に関しては、おそらくずっとファンだった方々とぼくのようなライトなファンでは大きく違うんだろうなというのは想像に難くないですね。本人からのコメントの通りだと思います。
『偶然にもバーベキューのセミナーに巡り会ってしまったビーガンのような感じである』

 

宇多田ヒカル/Fantôme

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 宇多田ヒカルの新作ですね。ヱヴァの主題歌だった『桜流し』が収録されると聞いた時点であまり明るい作品にはならないだろうとは感じていましたが、やはりというかかなり憂いを帯びた作品になっています。とはいえ1曲目の『道』など随所にポップな盛り上がりがあって大変聞きやすいですね。こまっしゃくれた洋楽っぽいアレンジです。個人的には『ともだち』のホーンの使い方が非常に好きなんですが、それ以上に『忘却』で見せるKOHHのラップと『二時間だけのバカンス』の椎名林檎との共演が衝撃的でした。あの映像を見ると毎回感想がぶっ飛びます。

 

James Blake/the colour in anything

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 突然のリリースだったので驚いて驚いた拍子に買っちゃったんですが、非常に良かったです。個人的にはやはり一枚目がぶっ飛んで最高でしたが、それに次ぐぐらいに良かったのではないかと。幽玄で美しいトラックは変わらず、今回はそこに出来すぎなぐらいの歌が乗っており、ピアノ弾き語りで歌われても良いような音楽に仕上がっているように感じます。とはいえ17曲は流石に多すぎるし全部聴いてるとかなり疲れる。ぼくはアルバムの曲が10曲を超えると疲れます。

 

GRAPEVINE/Babel,Babel

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 最初は収録曲の『Evil Eye』を聴いて「奈良県ってシャウトしてるよ。やっぱり変なバンドだな……」と思っていたんですが、繰り返し聞くうちにやっぱりその変さにはまってしまうので素晴らしいバンドですね。韜晦にあふれた歌詞といい、なんか変なフレーズ思いついたからどんどんふくらましていくか! という発想から作られたとしか思えない曲とかたまらないです。いちばん印象に残ったのは2曲目の『Golden Downs』で、ハイテンションの四打ちなのにギターのフレーズと歌詞で一風変わった曲に仕上がるという、実にGrapevineらしい良い曲だと思います。

 

Anderson .Paak/Malibu

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 ソウル・ファンク・R&B・ヒップホップ! なんでもありの音楽性と最高にイカしたジャケット。Dr Dreのアルバムに参加した時点でかなり名前は売れていましたが、この単独アルバムで完全に「Anderson .Paakここにあり」というところを見せ付けてきましたね。今年新譜を買った中ではぶっちぎりでライブを観たいミュージシャンナンバーワンなんですが、そこらへんはYou Tubeにあがっているライブ動画を見てもらえればお分かりいただけるかと思います。バッシバッシドラムを叩きながら熱唱する様子がめちゃくちゃカッコいいんですよ。全編に響き渡る力強いグルーヴとバンドサウンド。そして黒人音楽を横断するなんでもありのサウンドは聴いてて最高に楽しい。ところでなんでタイトルはMALIBUなんでしょうね。

 

American Football/American Football 2

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 なんと17年ぶりのセカンドアルバムです。情報が出た時には嘘つくな! って思いましたが、いつの間にやら本当に出ていたのでビビりました。内容はというと17年経っても全く変化なしのアメフトっぷりで笑ってしまったんですが、なんも変わらねえじゃねえかと批判するにはあまりにも曲のクオリティが高すぎる! アメフトここにありという激エモ(本来の意味で)作品でした。とりあえず先行シングルのDesire Gets in the Wayを聴きましょう。五分後にはアルバムを買っています。

 

David Bowie/Blackstar

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 遺作1。死んじゃいましたね。
 疾走感、緊張感。圧倒的な技量をもつ気鋭のジャズミュージシャンを起用した今作は、前作The Next Dayにも劣らぬ傑作にして遺作となりました。1曲目から10分を越える大作でありながら全く中だるみすることなく聞くことができ、1聴してこれはとんでもない作品だと感じられると思います。個人的にはラストの3曲、特に『Sue(or In A Season Of Crime)』の緊張感、人力ドラムンベースとでもいえるような曲調といつ破綻してもおかしくないような危うさを孕んだ楽器同士の掛け合いには心揺さぶられました。

 

Leonerd Cohen/You Want It Darker

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 遺作2。死んじゃったんですよねえ。
 彼に関してはそれほど熱心なファンではありませんでしたが、この作品は今年聴いた新譜の中でも一二を争うほど良かったです。一曲目の地の底から響いてくるような不穏なサウンドと、しゃがれ声によるポエトリーリーディングのような歌唱。それでいてブラックミュージックとの融合を完全に果たした印象的なリズムは素晴らしく刺激的でした。二曲目の「Treaty」からは一転して美しいメロディが流れ、所々で直近三作以前のような音楽性が垣間見える部分もあり、アルバムのラストでこの曲のストリングスアレンジが流れるのはかなり卑怯だなあという感じがします。素晴らしいアルバムです。

 

ANOHNI/Hopelessness

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 各所で絶賛が相次いでいたANOHNIとしてのデビュー作。やたらと評価が高かったので逆張り心が芽生えていたんですが、聴いてみると普通に良かったです。歌詞は政治的かつ攻撃的でかなり激しく、音もそれに負けじと重低音とノイズが飛び交うエレクトロですが、歌が非常に良いので聞きにくさみたいなものはないです。一曲選ぶとしたらアルバム2曲目の『4 Degrees』ですね。力強いパーカッション、ホーンとストリングスによる壮大なサウンドスケープ地球温暖化による人類全体の危機を歌った歌詞などこのアルバムを語る際に必ず取り上げられる曲ではないでしょうか。

 

ASIAN KANG-FU GENERATIONS/ソルファ[2016]

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 ラストシーンってこんなに素晴らしい曲だったでしょうか……。アジカンの代表作にして邦楽ロックの偉大なる金字塔、ソルファの再録版です。一言で言うとベースが極太どん兵衛になってるんですが、それ以外でもゴッチの歌い方やフレーズなど所々変わった部分を聴いていくとしっかりあの頃とは違う、今のアジカンのソルファとして更新されているのを感じられて感慨深い作品です。かつてソルファを聴きこんでいたひとたちがこのアルバムをどう感じるかというのは様々だと思うんですが、そういう人たちとぜひ膝付きあわせて語ってみたいと思わせられる作品です。

 

Danny Broen/Atrocity Exhibition

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 これに関しては単独記事を。今年の衝撃作でした。

Danny Brown/Atrocity Exhibition - RocketjuiceTm’s blog

 

Frank Ocean/Blonde

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 出家しましたね。前作と比べてポップな部分が抑えられ、抑えられた音数で静謐なソウルが奏でられています。大変豪華なゲスト陣でありながらそれを前面に押し出すことなく、各自の力をしっかりとまとめ上げてFrank Oceanのアルバムにできているところは流石と感じる点。ドラッグ、傷心、失恋。全体的に内省的な歌詞が続き、それが感傷的な美しいメロディに乗って流れてくるためかなり気持ちが落ち込む作品でした。仮題がBoys Don't CryだったことやFrank Oceanによるカミングアウトなどが続いた時点で、ある程度そういった傾向になるのだろうとは思いましたが。

 

 今年聴いたアルバムは大体こんなものでしょうか。新譜を全く聴けていない1年でまだまだ色々聴きたいアルバムもあったんですが、とりあえずここで一度まとめておこうかなという感じです。実際は今年1年Pink Floydばっかり聴いていたのでここにあげているアルバムも全く聴いていないものが多いです。Pink Floydは本当に最高ですよ。おわり。