サイロ

日記と音楽

味覚障害日記

 鬱やひどい精神的ショックを受けて味覚障害になることがある、という話は聞いていましたが、この度ぼくもついにそれをやりました。人生が心身症の見本市みたいになっています。

 

 一時は情動みたいなものがほとんど失われ、音楽を聴いても「音がするね」としか思えなかったのですが、そちらは回復して来ました。味覚もそう遠くないとは思います。

 とはいえいつか治るとはわかっていても味覚を感じないというのはなかなかにつらいものがあり、具体的に言うと何を食べても物理的な抵抗しかありません。米を食えば口の中で糊みたいになって気持ち悪いし、麺類を食べていると口の中に細い糸状のものがうごめいてるように思えます。おかげさまで近頃細くなってきていた食がさらに細まり、空腹でどうしようもないとき以外には食事もしなくなりました。近頃は昔食べた美味しかったもののことを毎日考えています。

 そんなわけで昔食べた美味しかったものの話をしようかと思ったんですが、どうせなので味覚が麻痺した人間は辛味に行き着くという話をしましょう。

 

 味覚障害の人間はあらゆるものに辛味調味料をかけるようになります。これは古くは中森明菜から連綿と受け継がれる(おそらく遡ればもっとある)伝統的な対処法であり、かのリリーフランキーも鬱で味覚障害に陥った際にはあらゆる食べ物にタバスコをかけていたそうですね。辛味だけは感じられるのはどういうわけか。これは単に辛味が味蕾細胞ではなく痛覚を刺激しているだけというのが理由であり、また五味をなくした辛味は味がしないことと同じぐらい意味のないものですが、まあごまかしにはなります。

 また、匂いのきつい食べ物とかもいいですね。鼻が効けばブルーチーズなどが粘土を噛む日々に潤いを与えます。一方臭い粘土じゃねえかと言われればそれもまた然り。では鼻も効かなければどうなるか。おそらくウィダーインゼリーが登場するか、遠からず鼻にチューブを通す日が来ます。鬱なんて早くなおるといいですね。